ディズニーランドではなくて,「デズニーランド」などと言うと,世間では笑い物にされるようです。なぜ?というのをちょっと考えてみたいわけですね,今日は。
そりゃまあ,Disneyland なわけですから,「ディズニー」の方が原音に近いでしょう。でもみなさん,「デジタルカメラ」って言いません?あれだって,digital camera ですよね。「ディジタルカメラ」の方が近いはずです。何で「デズニー」じゃいけないんでしょうか?
「ディ」という音はもともと日本語にはない音です。日本人には「ディ」という音になじみがなかったせいで,代わりに「デ」で済ませたのでしょうね,昔の人は。
- 「ディ」 → 「デ」 または 「ヂ」 digital , diesel 「ヂ(ジ)ーゼル」はもう死語?
- 「ティ」 → 「チ」 tip 「チップ」(ホテルのボーイにあげるのはchip 「なんかの切れ端,断片」ではない)
- 「トゥ」 → 「ツ」 tool 「ツール」 tour 「ツアー」
- 「ファ」 → 「ハ」 野球でいうと,first を「ハースト」と言う人はいないけど,fumble は「ハンブル」と言う人は多い(辞書もハンブル)。うちの父親は,foul ball を「ハール」と言ってましたね。
- 「フィ」 → 「ヒ」 coffee
- 「フォ」 → 「ホ」 platform (「プラットフォーム」とも言いますが,3番ホームとかいう時は「ホーム」) formalin 「ホルマリン」
別にこれらは間違ってるなんてことを言っているのではありませんよ。もともと英語の音をカタカナで正確に表記しようって方が無理なわけで, r と l , s と sh の使い分けとか, v 音は「ヴ」にするにしても,f や th やみたいにどうしようもないものもあります。(みなさん,this をカタカナで書かなくちゃいけなくなったとして「ディス」それとも「ジス」?)
でも,上の例から考えると,やはり比較的古くから日本語に入っているものほど,この代用音声で済ませるものが多いような気がしますね。「ジーゼル」の場合のように,最近ではちゃんと「ディーゼル」が優勢になって原音に近づける変化が起きているものもあります。
さて,冒頭の疑問に戻ると,なぜ「デズニー」は笑われるのか?「ディーゼル」と同じような修正が働いたこともあるでしょうが,きっとそれが固有名詞だからだと思います。昔は「ウォルト・デズニー」と言っていたはずですが,そこは何せ世界的大企業がバックにある遊園地ですから,「うちはディズニーランドです」と言えば,「デズニー」に勝ち目はありません。
ひょっとすると,「デジカメ」なんて言うと,20年後の子供たちには大笑いされるかもしれません。「ディジカメをデジカメだってさ。」