『先生はえらい』

著者:内田樹|出版社:筑摩書房(ちくまプリマー新書)|2005年|760円|高校生向け|独断的おすすめ度 ★★★☆

こんな題名から,「先生を尊敬しなさい」とか「先生の言うことを聞きましょう」とかいうようなお説教が並んでいるんだろうなと思うかもしれませんが,とんでもない。なぜ先生がえらいのかはこの本を読んでもらうしかありませんが,ヒントだけ言っておくと,「えらい,と思える人が先生」「えらい,と思うのは誤解」「誤解こそコミュニケーションの基本」といったところかな。

 

このコミュニケーションというのが,筆者の語りたいことで,その語りは対話から,交易や小説や精神分析へと飄々と流れていきますが,けっきょくコミュニケーションは可能(不可能)か,ということを軸にして回っています。

対話について筆者はこう語っています。

理解を望みながら,理解に達することができないという宙づり状態をできるだけ延長すること,それを私たちは望んでいるのです。
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恋人に向かって「君のことをもっと理解したい」というのは愛の始まりを告げることばですけれど,「あなたって人が,よーくわかったわ」というのはたいてい別れのときにいうことばです。

ざぶとん一枚!

筆者の言いたいことにしっかりついていける高校生は多くないと思いますが,でも「よくわからないけど,なんか面白いじゃん」と思えれば,この本が読めていることになるでしょう。

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