ここのところ,大学入試の「自由英作文問題」のテーマを集めてきましたが,いちおう完成しました。
次の3つは2001年~2008年までの主な私大・国公立大の自由英作文問題のテーマを大ざっぱにまとめたものです。テーマを日本語で簡潔に要約したリストです。一部は問題の現物を用意してあります。
全体的に見ると,
- テーマだけが言葉で与えられている
- 日本文・英文・グラフ・表 が与えられて,それについて論評する
と,形式的には2つの異なるタイプがあります。
また,求められているテーマも
- おもに個人的体験・感想など,どう「感じるか」を問うもの
- おもに自分の意見など,どう「考えるか」を問うもの
の2タイプがあります。タイプ2の方が論理的思考・記述が要求されるためむずかしいようにも思えますが,そもそも世の中で議論百出の大きなテーマを限られた語数で書け,しかも限られた時間で,しかも英語で,しかも論理的に飛躍なく,というのもかなりのムチャブリです。
各大学ともかなり考えた上で作問しているようです(そうは見えないところもあるが)。おもしろい問題も多々あります。逆に,似たような問題が出題されることもけっこうあります。考えた上でのことなのか,それとも単なるパクリなのか,聞いてみたいところですが。
以下では,よく見かけるタイプを少し取り上げてみます。
まず,面接の口頭試問で聞かれるようなこと。
まずは,好きな本,映画など。
- 一番影響を受けた映画 (青山・国際)
- あなたが大切なことを教わった本,映画,マンガ,アニメの一場面 (大阪)
それに,尊敬する人
- あなたがりっぱだと思う人 (学習院・国際)
- もっとも尊敬する人物は誰? (立命館)
- あなたがもっともりっぱだと思う人物は?(死者でも) (一橋)
なんていうのは,そこそこありますが,それほど多くはないようです。
多いのは,
- 自分がこれまでに受けてきた学校教育の良かった点,悪かった点 (中央・商)
- これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)
- 高校であなたがやり遂げた一番大切なこと (小樽商科)
- 高校時代のいちばん心躍る出来事 (福島)
- 我が人生最良の時 (茨城)
- これまでの学校生活で最も印象に残ったこと,そこから学んだこと (福岡教育)
- 部活・ボランティアなどの課外活動に参加した(しなかった)ことによって得たもの,失ったもの (福岡教育)
- 人間形成にいちばん大きな影響を与えたもの (奈良女)
- 自分の人生で最もやりがいのあった,または心躍った体験
- これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)
など,高校生活(それ以前もアリ)を振り返って,というやつです。これをちょっとひねったパージョンが,
- 自分の高校の校長だったら学校をどう変える? (青山・国際)
- 自分の高校について一つの点を変えられるとしたら,何をなぜ変える? (神戸市外国語)
- 母校の校長になれるとしたら何をするか? (広島)
というタイプです。もっと抽象的な課題としては,
- これまでに選択を迫られた時にどのように決断したか,具体的に (中央・商)
- あなたがこれまでに下した大きな決断について(条件付き) (東京)
というのもあります。逆にもっと絞り込んで,趣味に限定すると,
- あなたの趣味は?それによってどのように人生が豊かなものになった? (青山・文)
- あなたの趣味と,どうしてそれに興味を持ったか? (学習院・国際)
なんていう課題になります。
以上は,「過去を振り返る」型といえるでしょう。
ざっと見た感じで,いちばんよく見かけるのは,
- 自分が住みたい国 (青山・国際)
- 一番行きたい国 (学習院・国際)
- 行きたい国 (関西学院・経済)
- 世界のどこにでも行けるなら,どこに旅行に行く? (慶應・看護)
- 世界の中で行きたい国 (東京女子大)
- 世界のどこに住みたいか? (明治学院・経・社)
- あなたが住みたいと思っているところは? (福岡教育)
- 日本以外の国(地域)に生まれて育つとしたら,どこで・なぜ? (東北)
- いちばん行きたい場所 (一橋)
- 今まで行ったことのある観光地でもう一度行ってみたいところ (大阪)
というものです。それぞれ「行く」だったり,「住む」だったり,少しずつ違うことが求められてはいますが,おそらくこのタイプと,上の「これまでの人生・高校生活を振り返って」型がいちばんの頻出問題ということになりそうです。この「住む」「行く」関係では,
- 都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (慶應・看護)
- 田舎,都会,どこに住みたいか? (秋田県立)
- 田舎の一軒家,都会のアパート,どちらに住みたいか? (宮城教育)
- 大都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (福島)
とか,
- 山と海のどっちに行くか? (青山・国際)
- 夏に海と山のうち,どちらに行くのが好き? (立命館)
なんていうのもあります。
ずばり価値観を問うものは,
- 金と時間,どちらが大切? (秋田県立)
- 金銭,健康,家族のうち,あなたにとって一番大事なものは? (立命館)
なんていうのもありますが,選択肢が「金銭,健康,家族」じゃあ,金は思っていたって選びにくいですよね。
- 「嘘も方便」「嘘つきは泥棒の始まり」。あなたはどっちに賛成? (福井県立)
- ウソをつくことは許される? (早稲田・国際)
- ウソをつくのは悪いことか? (大阪)
ふつう論説文タイプの設問では,賛成・反対どちらかの立場に立つことが求められますが,こんな問い方をされたら,「時と場合による」としか答えようがないと思うんですが...
案外,時々見かけるのが,無人島シミュレーション。
- 無人島に持って行きたい3つのもの (青山・国際)
- 船が難破しひとりで無人島に流されたなら (中央・商)
- 無人島に漂着したら優先的にやるべきこと (東北)
- 無人島に取り残されたら。 (群馬県立女子)
なんか,ありがちですよね。仲間うちや恋人同士で会話が途切れた時に出るネタです。東北大だけ「やるべきこと」ですから,こちらはもっとプラクティカルなことを聞いていますが。
- 1億円あったらどうする? (一橋)
- あなたの家族が宝くじで1000万円当たったらどう使う? (東北)
金額が一桁違っていますが....これって,東京と地方の違い?一橋受験生はお金持ちだから,1000万じゃ現実的すぎてシミュレーションにならないってことなの?