「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第5弾。今回は,語法の最後として,名詞・形容詞・動詞の語法の表記について考えてみたいと思います。
まず必ず必要になるのは,名詞の場合は可算・不可算,形容詞の場合は比較級の有無および形と限定用法・叙述用法のどちらで使えるかです。
まず,名詞の可算・不可算の表記については,4辞典とも四角で囲った[C], [U]で,両方で使える場合は[CU]または[UC]になっています。では,snow のように通常不可算だが,形容詞を伴った具体的な一回一回の雪は a heavy snow のようになるという場合はどうでしょうか。
ジーニアス
snow 1 [U] 雪| play in the ~ 雪の中で遊ぶ / The ground was covered in [with] ~. 地面は雪で覆われていた / walk through deep ~ 深い雪の中を歩く 2 [a ~;形容詞を伴って] (1回の)降雪; [無冠詞で](ある期間の)降雪量; [the ~s] 降雪期 | We had a heavy [much, ×big] ~ yesterday. 昨日大雪が降った / We had heavy ~ last winter. 去年の冬(全体で)雪が多く降った
ルミナス
snow 1 [U] 雪; 降雪; 積もった雪; walk in the ~ 雪の降る中を歩く / a blanket of ~ 一面の雪 / We didn’t have much ~ last year. 去年はあまり雪が降らなかった / They traveled over the ~ on skis. 彼らはスキーをはいて雪の上を行った / Four inches of ~ fell overnight. 一晩で4インチ雪が積もった。[語法]降雪を1回,2回と数えるとき,またはいろいろな状態の雪をいうときには[C]となることもある; We had a heavy ~ last week. 先週大雪が降った。
ウィズダム
snow 1 [U] 雪,降雪量(→ sleek, flake); [C] [通例 ~s](1回分の)降雪(期間) 》 Snow fell throughout the night. 一晩中雪が降り続いた / We had no snow this winter [a light snow yesterday]. この冬は雪が降らなかった[昨日少し降った] / shovel [remove] snow 雪かきをする / The streets are covered in [ with, (時に) by ] snow. 街路は雪に覆われている / The snow lay thick on the ground. 雪が地面に厚く積もっていた / go out to play in the snow 雪遊びに出かける / 10 inches of snow 積雪10インチ / the heaviest snows of the year 今年一番の大雪
[表現] 雪の種類
a heavy [× big] ~ 大雪 / deep [soft] ~ 深く積もった[やわらかな]雪 / powdery ~ 粉雪 / a fresh ~ 降ったばかりの雪,新雪 / wet ~ 湿った雪
ロングマン
snow 1 [U] 雪: footprints in the snow 雪の上の足跡 / There is a chance of snow tonight. 今夜は雪が降る可能性があります。 | deep snow 深い雪 | heavy snow 大雪 | snow falls 雪が降る: Over six inches of snow fell last night. 昨夜,6インチ以上の雪が降った。 | a fall of snow 降雪 | a flurry of snow にわか雪 | snow shower にわか雪,小雪 | snow flurry にわか雪 2 [C] (1回の)降雪: the first snows of winter 初雪 [同意] snowfall
「ジーニアス」と「ロングマン」は不可算のsnow と可算の snow を別項目として扱い, 「ルミナス」「ウィズダム」は1つの項目の中で扱っています。特別に語法ポイントとして説明しているのは「ルミナス」だけ。
ただ,この項目は各辞典の例文がなかなか面白いですね。それぞれに異なる例文が多く,「ウィズダム」の[表現]欄は便利だし,「ロングマン」も同等の工夫があります。「ジーニアス」の最後の2つの例文違いは特に興味深いと思いますが,どうでしょうか。
今度は形容詞の語法を見てみましょう。
形容詞の語法表記はジーニアスが [限定] [叙述] (どちらでも使えるものは表記なしで,この点は他の辞書もおなじ),ルミナスが四角で囲った [A] [P] ,ウィズダムは [名詞の前で] [be ~],ロングマンは 《[名]の前でのみ》 《[名]の前不可》 になっています。「ウィズダム」「ロングマン」は「限定用法」「叙述用法」という文法用語を避けたわけです。
また,叙述用法の形容詞は,名詞に対して後置修飾できるという問題に関しては,たとえば見出し語 present の項目を見てみると,
ジーニアスは, 「the members ~ 今出席している人たち( the ~ members は「現在の会員たち」)」という例をあげるだけですが,ルミナスは「[語法]名詞や代名詞を直接修飾する時はそのあとに置く」という説明をつけた上で例を挙げています。ウィズダムは,「the staff members present 出席している[いた]職員たち (present の前に who are [were] が省略されている; the present staff members なら「現在の職員」の意味になる)」という指摘です。ロングマンはこの点の指摘はありませんが,表記が先ほど挙げた《[名]の前不可》ですから,後ろはOKという意味に読めることは読めます。
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