= いろいろな as (その2)=
前回につづいて,as のはなし。前回は総論と接続詞のasで終わりました。
ということは,関係代名詞,前置詞,副詞 が残っています。
関係代名詞の as
関係代名詞の as は大きく分けて2つに別れますが,2つめはあまり品詞を気にしなくてもいいもの,1つめはそこそこだいじなものです。繰り返しますが,関係代名詞かどうかの識別は,《関係代名詞+不完全文》になっているかどうかです。つまり,as の後ろに動詞があって as節を作っているのに SかOかCかのどれかが欠けていれば,そのasは関係代名詞[1] だということです。
1. 「・・・ことだが」 (主節に対するコメント付加)
as is often the case with ~ 「~にはよくあることだが」 という表現はよく入試問題で使われる熟語です。これをすでに知っていれば話はかんたん。この as が関係代名詞です。as is well known 「よく知られていることだが」, as was expected 「予想されていたことだが」などのように, as + 不完全文(上の3つではすべて主語が欠けている。つまり as が主語の働きをしている。)になっています。訳は「・・・ことだが」という形で問題に出てくることが多いですが,「・・・ように」と訳したって何の問題もありません。
As was expected, he has turned out to be a skillful surgeon. 予想されていたことだが(予想どおり),彼は有能な外科医になった。
この例文のように,関係代名詞は主節(ここでは he has 以下)の中に含まれず,主節の前や後ろに置かれ,多くの場合カンマで区切られています。
関係代名詞はふつう先行詞があるとされていますが,この場合の先行詞は何でしょうか?ふつう,「この種の関係代名詞の as の先行詞は,主節の意味内容である」ということになっています。つまりこの as はwas expected の主語の働きなのですが,じゃあ「何が予想されていたのか」というと,「彼が有能な外科医になること」が予想されていたわけですから,その「彼が有能な外科医になること」=主節の内容ということになります。わかりにくいですか?当然です。たいして重要なことではありません(こういうのを出題する大学もあるのですが,それは問題が悪い!)。理解してほしいのは,この as 節は主節にコメントを付け加えるためのものだ,ということだけです。「彼は有能な外科医になったよね,まあそれって予想はされていたことだけどさ。」
2. 「・・・と」「・・・ような」 (the same ~ as, such ~ as, as ~ as )
the same A as …. 「….と同じA」 such A as …. 「….のようなA」
as ~ as …. 「….と同じくらい~」 の as を関係代名詞と呼ぶことがあります。as の後ろが不完全文の場合です。以上,終わり。((これらの as はもともとは接続詞(as ~ as や the same ~ as の場合)だったり,前置詞だったりします。後ろに動詞があるのに不完全文だと,関係代名詞としか呼びようがないのでそう呼んでいるということです。でもそれは,品詞分類するとどうなるか,という問題であって,意味を理解しておけばいいだけです。))
前置詞の as
後ろに動詞がなく, as + 名詞 になっている時は前置詞の as で,ほとんどの場合 「~として」と訳します。他の as との識別さえつけば,いちばん簡単です。
副詞の as
as + 形容詞 or 副詞 がセットになっていれば,副詞の as です。意味は「同じくらい~」。 as ~ as … 構文のひとつめの as がこれです。ふたつ目の as 以下は場合によっては省略可能です。
You know he is 185 cm, but she is as tall. 「彼女も同じくらいの身長だよ。」
問題 1
次の文の as と同じ用法のものをイ~ホから一つ選べ。(獨協大)
Do in Rome as the Romans do.
イ. I found the same watch as he had often shown me.
ロ. As is often the case with him, he is absent today.
ハ. She told us stories, as we walked along.
ニ. The girl’s father allowed her to do as she liked.
ホ. This is the English language as it is spoken in London.
← 【 答 1 】
問題 2
下線部(7)と同じ用法の’as’を次の(イ)~(ニ)の中から1つ選び,その記号を解答欄にマークしなさい。(学習院)
Although Rodin’s works were criticized when he first began working, (7)as time went on French people began to like his statues very much.
(イ) As she had been up since 3 am, she was very tired.
(ロ) As the sun rose, the fog gradually disappeared.
(ハ) I am returning your letter as requested.
(ニ) We were sitting, as I remember, in an Italian restaurant.
← 【 答 2 】
問題 3
下線部(ア)と(イ)のそれぞれの"as"と同じ用法の"as"を含む文を1~5の中から1つずつ選びなさい。 (慶應大・理工 改題)
The term "speculation" has acquired a *pejorative meaning among some scientists. Describing someone’s ideas (ア)as "mere speculation" is often considered insulting.
*pejorative:軽蔑的な
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The most basic questions about the human mind ― How do we recognize faces? Why do we cry? Why do we laugh? Why do we dream? Why do we enjoy music and art? ― remain unanswered, (イ)as does the really big question: What is consciousness?
- She is looking for a man who accepts her as she is.
- We had completely misjudged the situation, as we later discovered.
- Try as she would, she could never bring back to mind a word of what he had said.
- We regard him as the best doctor here.
- I can speak English as well.
← 【 答 3 】
- 「関係代名詞」ということばについて: 「関係代名詞」を定義すると代名詞でありながら,「関係」させる働きも持つもの,ということです。「代名詞」は,文中で必ず主語か目的語(前置詞の目的語も含む)か補語になるという性質を持ちます。また「関係させる」というのはその部分だけで独立した文にはなっておらず,前や後ろとつながっている,ということです。かんたんな 例を挙げて見ましょう。
The book that I read yesterday is "Kokoro." 「私が昨日読んだ本は『こころ』です。 」
The people who didn’t go there yesterday missed a fantastic experience. 「昨日あそこにいかなかった人は,すばらしい経験をのがしてしまったことになる。」
という文において考えると,that I read yesterday やwho didn’t go there yesterday だけでは文になっていません。前のthe bookと関係づけられています。しかも,that 自体はその節の動詞readの目的語にもなっています。そして,that 自体がreadの目的語なのだから,thatの後ろでは目的語が欠けている,つまり不完全文になっているわけです。
目的語などになる(つまり名詞・代名詞の働きを持つ)+前後と関係させる働きを持つ=関係代名詞 なわけです。 [▲ 戻る]