= 動詞 + one’s way =
今回のポイントは単純で,「熟語です」のひとことで片づけてもいいのだけれど,「生産性がある」熟語,つまり話し手・筆者が自分でそのパターンを使って新しい熟語を作り出すこともできるような熟語です。
動詞 + one’s way + 方向を表す副詞句 「Vして,・・・へと進む,向かう」
これだけ。
このタイプでいちばん無色に近いのが,
make one’s way to[toward] ~ 「~へ進む」
という熟語です。
I managed to make my way to the counter. 「なんとかカウンターのところまで進んだ。」
さらに,この熟語の make のところを他の動詞に変えると「Vして[しながら]進む」というように,「進む」という意味を保ちつつ,ニュアンスが少し変わる熟語を作り出せます。たとえば,push one’s way だと「(人を)押し分けながら進む」, grope (手探りする)を使えば, grope one’s way 「手探りで進む」となります。
COBUILD 英英辞典での説明は,こんなかんじです。
You use way in expressions such as push your way, work your way, or eat your way, followed by a prepositional phrase or adverb, in order to indicate movement, progress, or force as well as the action described by the verb.
「push your way, work your way, eat your way のような表現と,それにつづいて前置詞句や副詞を置けば,その動詞で表される行動とともに,運動,進行,無理やりの前進などを示すために使うことができる」
自分で造語することも可能なほどいろいろな動詞と組み合わせることができます。「進む」を出世・成功などの比喩的な意味で使うことも多いようです。「ジーニアス大英和辞典」に載っている例では,
- elbow [shoulder, thread, wheel] one’s way 「ひじで押して[肩で押して,縫うように,車で]進む
- struggle [force, push, thrust] one’s way 「もがくように[押して]進む」
- pick [work, labor] one’s way 「用心して[骨折って]進む」
- steal one’s way 「こっそりと進む」
- muscle one’s way 「強引に押し進む,強引に割り込む」
- feel [grope] one’s way in the dark 「暗がりの中を手探りして進む」
- laugh one’s way through life 「笑って暮らす」
- study one’s way to academic fame 「研究で学問上の名声を博する」
どれも way には必ず所有格が前につくことに注意してください。たとえば, make one’s way は「進む」ですが, make way (for ~) だと,「(~に)道を譲る」の意味です。他人に道を作ってあげる,ということになります。
【 問題 】
1. かっこ内に入れるのに適切なものを選びなさい。
They ( ) the crowd and onto the train. (湘南工科大)
1.pushed their way through 2.pushed through their way
3.pushed their through way 4.pushed way through their
2. 日本語の意味になるように,かっこ内に1語入れなさい。(学習院)
彼は人ごみの中を押し分けて進んだ。
He elbowed his ( ) through the crowd.
3. 下のうちから適切なものを選び,語形を変化させてかっこ内に入れなさい。
He ( ) his way up the political ladder to the highest position in the land. (立教大)
close escape finish give live make
← 【 答 】
むかし, Smokers are puffing their way to cancerous death. という表現に出会ったことがあります。「喫煙者は,スパスパと癌で死に至る道を歩んでいる」 ( puff は「(息や煙を)出す,吹く,プカプカやる」)
うまい表現だなぁー。そうつぶやきながら,感心していつものように手元のタバコに火をつけました。