「こうあるべき」 と 「こうなるなんて」 ( ONE POINT at a time 8)

= that 節の中の should と 仮定法現在 =

should は,「~すべきだ」「~するはずだ」のような意味を持つ助動詞ですが,特にそういう意味を持っていないのに that 節の中で使用される場合があります。今回はそのはなし。大学受験レベルを超えないはなしですみそうです。

これには2つのタイプがあります。

  1. suggest, demand, recommend などの目的語となる that 節の中で使われる場合,または It is ~ that … という形式主語の構文で,~に当たる形容詞が necessary, important などの場合
  2. It is ~ that … という形式主語の構文で,~に当たる形容詞が natural, strange, surprising などの場合

こういう分け方だと初めての人は,アタマが混乱してしまいやすいでしょう。特に,タイプ1とタイプ2の両方に,It is ~ that … がありますから,「どこが違うんだ」と思うのは当然です。

その違いを説明する前に,タイプ1とタイプ2のshould の使い方の違いに触れておきます。

  1. では,should を義務的に必ず使うか,またはshouldを使わずに動詞を原形のままにする(過去の話でも原形,be なら she is じゃなくて she be になる)。原形の場合を文法用語では「仮定法現在」と呼びます。原形を用いるのは主にアメリカ用法,should を用いるのは主にイギリス用法です。
  2. の should は義務ではありません。入れたければ入れるというだけです。入れたくなければ,動詞はふつうの形です。原形ではありません(過去の話なら過去形。be なら she is のようにあたりまえの形)。

タイプ1 と タイプ2 にそれぞれ該当するものを挙げておきます。太字になっているのが基礎。量が多いので,ざっと目を通して,次にすすんでください。

 1. 次の動詞の目的語となるthat節の中

  「提案する」 suggest, propose

  「要求する,求める」 demand, require, request, ask, require

  「主張する」 insist

  「命令する」 order, command

  「勧める」 recommend

  「促す」 urge

  「忠告する」 advise

  「決心する」 decide

  「取り決める」 arrange

  It is ~ that … 構文の~の部分が次の形容詞の場合

  「必要な」 necessary, essential

  「重要な」 important, vital, crucial

  「必須の」 imperative

  「緊急の」 urgent

  「望ましい」 desirable, advisable

 2. It is ~ that … 構文の~の部分が次の形容詞の場合

  「驚くべき」 surprising, astonishing, amazing

  「当然な」 natural, reasonable

  「奇妙な」 strange, odd, peculiar, curious

  「残念な」 regrettable

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1 では,上に書いた単語の後ろのthat節の内容が,「いまのところまだ現実ではない,『こうなってほしい』『こうなったらいいな』という想定である」ことに注意してください。

たとえば,「うちのクラスは文化祭で劇をやることを提案する」という場合,「うちのクラスが文化祭で劇をやる」というのはまだ実現していないですよね。提案してるだけです。「要求する」「主張する」「命令する」なども同じで,「こうしようよ」「してよ」という実現はしていない,頭の中に描いた理想・想定・願望などです。英語ではこういう場合は,仮定法を使ったり,助動詞を用いたり,不定詞で表現するのですが,上の場合は shouldか原形,と決まっているわけです。

それに対し,

2 は,むしろ事実を述べています。

「彼が遅刻しなかったのは,驚きだ・当然だ・奇妙だ」のように,遅刻したのは現実に起きたことです。1 とは全く違うものであることがわかると思います。should の働きも全く違うものです。この should は「感情のshould」なんて呼ばれることもある,「意外感」を表す should です「~とは」「~なんて」などと訳されます。「彼が遅刻しなかったなんて・・・」というわけです。だから,「~とは」という気持ちをこめたくなければ,ふつうの動詞形でかまわないのです。

 

【問題】 (2は誤りがなければE)

1. 誤りを指摘(立教)

Because the teachers イ) recommend that Robert ロ) be given a second chance, his friends ハ)suggest that Robert ニ)takes the test again.

2. 誤りを指摘,誤りがなければE (早稲田)

Why is it (A) so important that everyone (B) attend the class (C)every day? I think it’s (D) a waste of time. (E) NO ERROR 

3. 下線の語を(a)~(e)の語と置き換えて,意味は変わっても,論理的,文法的に成り立つものを選べ.2つある場合は2つとも,適当な語がなければ(f) (関西学院)
It is surprising that you should know so little about it.
( a ) natural ( b ) often ( c ) regrettable ( d ) common ( e ) scarcely

 

【解答・解説】

1. ニ 2. E 3. a, c

1. は,recommend that … と suggest that … の2カ所が should または原形を用いる箇所です。ロはOKですが,ニを take か should take にしなければいけません。

2. は,「なぜみんな毎日授業に出席することが大切なのだろうか」という部分に,It is so important that … が使われています。everyone は単数扱いをするのでふつうなら attends のはずですが,ここはattend であってます。

3. that 節で should が使えるものを選びます。natural(当然な) と regrettable(残念な)ですね。

 

最後にちょっとこまかいことを言っておくと(今までのも十分こまかいけど),

● suggest には,「提案する」以外にも,「示唆する」「ほのめかす」という意味がありますが,この意味の場合,事実を示唆するので,上のルールを使わずふつうの動詞形(つまり,今のことなら現在形,過去のことなら過去形)を使います。insist も「~しようよ」という主張なら上のルール,でも事実を主張するなら(「彼が犯人だと主張する」のような),ふつうの動詞形です。

● タイプ1では,should か原形を用いる,と言いましたが,会話文などではhave to などで代用することもあります。

● タイプ2のshould は,that 節以外でも,why などの疑問文で使われることがあります。Why should he be angry? 「彼,いったいなぜ怒ってるの?」意外感を出したいときに使うわけですが,「~とは」「~なんて」で訳しにくいので,「いったい」あたりを使って訳します。

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