= another のいろいろな用法 =
another を「別の」という意味で覚えている人が多いようです。もちろんそう訳せることが多いのですが,「別の」で覚えるより,「もう一つの」「もう一人の」という意味で覚えておく方がいい場合が多いと思います。
Buy three CDs and get another completely free.
「CDを3枚買うともう1枚タダで手に入ります。」
元の意味は, an + other ですから,「ひとつの+他の」ということになりますが,そこからいろんな使い方が出てきます。
まず有名なのは, A is one thing and B is another. という公式。直訳すると,「Aはひとつのことであり,Bはもうひとつのことだ」という意味で,そこから「AとBとは別(のこと,の話)だ」と訳せます。
次の日本語の意味になるように,英文の空所に記号を入れなさい。(名古屋経済大)
いい音楽を聞いて楽しむことと,自分でうまく演奏することとは,全く別のことである。
It is ( ) ( ) to ( ) listening to good music, ( ) it is ( ) ( ) to ( ) skillfully yourself.
ア. another イ.perform ウ.enjoy エ.quite
オ.thing カ.while キ.one
正解 キオ-ウ-カ-エア-イ
It is one thing to enjoy listening to good music, while it is quite another to perform skillfully yourself.
また,another は an + other なのに,後ろに複数形がつくこともあります。
We have ( ) to walk before sunset.
(1) another miles ten (2) another ten miles (3) ten another miles (4) ten miles anther (センター試験)
正解 (2)
日が沈む前にあと10マイル歩かなきゃ。
another ten miles あと10マイル,もうさらに10マイル
another + 数 + 複数 あと~ ( another three days あと3日)
この文では,10マイルというかたまりがもうひとつ必要というわけでanother を使っています。
さて,本題はここから。
He is a good tennis player, and his brother is another.
という文で,彼の弟はテニスが (1) うまい (2) うまくない のどちらでしょうか?
another = 「別」と覚えておくと間違えてしまうのはこういう場合です。「弟は別」と訳すと間違いです。「もうひとつ」と覚えておけば,この文は「彼はテニスがうまいが,弟はもう一人の上手なプレーヤーだ」。となります。(another = another good tennis player )したがって,正解は,(1)です。
この場合,another は「同じような,似たような」と訳せます。
He will become another Einstein. 彼はアインシュタインみたいな人になるだろう。
another は「別」「同じ」という正反対の意味を持っていることになります。
【 結論 】
another は「別の」と訳していいこともあるが,「同じような」と訳していいこともある。共通しているのは,「もうひとつの」「もうひとりの」という意味。