ほんとうは,「英文はこう書かなければいけない」などというスタイルはありません。自由に書いていい,と言ってもいいのですが,ただしそれは自由に書いても読みやすい文章が書ける腕があなたにあれば,のはなしです。時間とスペースが限られたテストという枠内で,しかもそれを英語で書くとなれば,ある程度パターンで書いた方が楽だし,読みやすいし,つまりは点が取りやすいということになります。
世の中には上には上がいるもので,何千人かの受験生のうちには完璧な答案を書く人がごくごく少数ですが存在します。この人(たち)は満点を取ります。それ以外の99%の人は満点狙いではなく,部分点ネライ,まあとりあえず5割越え,できれば7割5分くらいを目標に書くことになるでしょう。したがって名文である必要はないですが,正しい,読みやすい,わかりやすい文を目指します。
英文における読みやすさ,わかりやすさは,1つ1つの文が正しい英文であること以外に,
- 全体で言いたいことがはっきりしていること
- その全体と,一文一文との関連が見えやすいこと
が,最低条件です。
1 のためには,
- 何を論証するのかをできるだけ早い段階で明確にすること
- 論旨があっちへ行ったり,こっちへ行ったりしてブレないこと
- 一見ブレるように見えても,かならず本筋に戻ってくること
が必要ですし,2 のためには,
- 「したがって」「しかしながら」「たとえば」「第一に」のようなつなぎことばや論理マーカーをうまく使うこと
- 読む人はあなたと常識・知識・文化を共有していない宇宙人(外国人)だと考えて,できるだけていねいに言葉をたくさん使いながら論証すること
ということを念頭に置いて,書いていくとよいでしょう。
例題ではワン・パラグラフしか書けませんから,話をあまりふくらませることはできません。全体の流れは,たとえば次のようになります。
- 近年のコミュニケーション技術の発展は,人間関係をより良いものにしている。
- ポイント1 個人対個人の直接的なコミュニケーション
- 例・理由 携帯電話による時間場所に縛られない連絡・会話
- ポイント2 コミュニケーションの方法が多様化して,人とのつきあい方が多様化
- 例・理由 メールによって,直接では言いにくいことを気軽に言える
- 携帯,ネットなどの技術によって,今後もよりよい関係を作ることが期待できる
1 が「早い段階での論旨の明確化」に当たり,1 → 2 →たとえば3 → その上 4 →たとえば 5 → 結局 6
という感じです。