高3生だとこの時期にもなれば,文法のポイントはあらかた完成,とまでは行かなくても,とりあえずひととおりのことは終えて,読解の勉強にエネルギーを注ぐことになるのがふつうです。そろそろ過去問もやらなければ,という時期が近づいています。
よく勉強してもすぐにはその効果は出ない,効果が出るまでには時間差があるから,あせってはいけない,などとよく言われます。だとすると,夏休みをまあまあ有効に使って勉強がはかどった人ならそろそろ結果に現れてもいいころです。事実,グッと力がついてテストの点数にも反映されてきた,という人もいるでしょう。
ところが,逆に成績が下がっちゃった,という人も少なからずいるんですね。人はどう言うかわかんないけど,自分では自分なりにけっこう勉強してきたはず。なのに成績が下がる。やってらんない。そんな気持ちになるのもムリはありません。
これにはいろいろな原因が考えられるのですが,いちばんありそうなパターンが,「知識が増えたことによる混乱」です。そしてその対策は単純で,「もう一度知識を整理し直す」ことです。
たとえば時間を中一にまで戻して考えてみます。ある生徒が,book → books, dog → dogs のように「複数では s がつく」と覚えたとします。そしてそれからしばらくして,take → takes, come → comes のように「3人称単数では s がつく」と習うと,頭が混乱....しませんよね,ふつうなら。混乱したとすれば,最初からいい加減に覚えているからです。前者のポイントは「可算名詞の複数には -s (-es) がつく」であり,後者は「主語が3人称単数現在なら,動詞に -s (-es) がつく」ですから,名詞も動詞もゴッチャにしていない限り混乱はしないはずですが,実際にはけっこう後まで混乱している人がいます。たまに,ですけど。(以前浪人生にこの質問をされたことがあって,ずっこけました。)
上は極端な例ですが,知識が増えれば増えるほど,以前知っていたはずのことと,新たに覚えたことがどうつながっているのかいないのか,ということが見えなくなることがあります。
「以前は知っていたはず」のことを「ホントに知っているのか」再チェックする必要があります。「知っている」「わかってる」ということの意味を自分に厳しく問い直す必要があります。変な知ったかぶりはせずに,「僕はホントにわかってるのだろうか?」と考えてみてください。
そんな時間はない,応用問題・ハイレベル問題にチャレンジしなくちゃ,と焦る気持ちもわかりますが,この時期に薄っぺらな問題集でも短期間にやって復習しておくと,「ああ,そういうことだったのか」と,突然視界が開けたような気持ちになることがあります。実はそういう経験がだいじなんです。むずかしいのは応用ではありません(そんなものはちょっとやれば大丈夫です)。基礎的なことが持っている深い意味を知ること,それがわかるとかなり違うんですけどね。
と,毎年言ってるんだけど,あんまりみんなにはわかってもらえませんが。