2008年度センターが目の前に迫っています。
2007年度は,前年度と比べかなり傾向が変わったので大きな変更はなさそうですが,油断はできません。難易度は前年度と比べやさしめだったために,2008年ではいくぶん難化する可能性があります。
よく言われているように,センターは基礎~標準レベルの問題を大量に出題するという特色があり,重要なのは時間配分と,手際よく,要領よく解答できるかという器用さが求められます。一つの問題に手間取りそうなら,場合によっては飛ばして(あとまわしにして)次へ進むというような決断が必要なこともあるでしょう。
センターの英語問題は,特別な対策が必要なわけではありませんが,問題量の多さから考えるとすばやく解き進んでいかなければならないので,それなりの準備は必要です。
センター 第1問 B (文強勢問題)の攻略
文強勢とは,文中のどの単語が強く読まれるのか,という問題です。強勢というのはアクセントという意味ですが,ふつうの単語アクセント問題は,一つの単語の中のどの母音を強く読むのかという問題であるのに対し,文強勢は特定の状況のなかでどの単語を強く読むのが自然なのか,という問題です。センター以外ではあまり見かけない問題形式です。
文強勢問題は,2007年度と2006年度以前で出題傾向が変化しています。今年はどうなるのかはわかりませんが,まず文強勢の一般論を概観すると以下のようになります。
- 対比されている箇所は,強く読まれる。前に言われている内容を訂正する語も強い。
- 対比されていなければ,代名詞,前置詞,冠詞,助動詞,接続詞などは弱く読まれる。ただし,文末の助動詞は強い。
- 疑問文の答えは強い。
- 新情報(会話の中ではじめて出てきた内容)は強く,旧情報(会話の中ですでに前で述べられている内容)は弱い。
2006年度まではこれらのポイントを押さえれば理屈上は解けるのですが,実際の出題は時々かなりトリッキーな出し方をしています。たとえば2006年には,一連の会話の中で登場人物が次のように言います。
I’m the only one without an umbrella. Everybody else checked the weather report. Why didn’t I check it?
この下線部分でどこを強く読むかというのが出題で,選択肢は (1) didn’t (2) I (3) check (4) it です。実は,いちばん強く読むのは当然 Why なのですが,選択肢にはありません。つまり,2番目に強く読むのはどこかを聞いていることになります。(1)~(4)まですべて旧情報なのですが,ここでは everybody else 対 I の対比がある(みんなチェックしたのに私はチェックしなかった)ので正解は(2)ということになります。まあちょっとズルイ出題だよなあ~。
ところが,2007年度では傾向が変わって,一連の長い会話ではなく,一文の中だけで「太字部分を強く読んだ場合の話者の意図は何か?」という問題になりました。以前と比べるとかなりやさしくなっています。
Can you come to dinner on Friday at eight?
What do you think about my summer plans?
Tom telephoned me very late last night.
の3題です。
考え方としては,その部分を強く読み,さらにしつこく繰り返してみて,どんな状況なのかを想像してみてください。
「キミは金曜8時に夕食に来れる?キミだよ,キミ,キミ!」。
「僕の夏の計画についてどう思います。ねえ,どう?どうなの?」
「トムは昨夜すごく遅くに私に電話してきたんです。すごくですよ,すっご~く。」
見えてきません?
センター 第2問 B (会話文問題) の攻略
会話文はけっこう得意の人も多いのですが,かんたんに注意点を挙げておきましょう。
- ( ) の部分とその前後(特に後ろ)で,
- 指示語,代用表現が対応するか?
たとえば,( )の後ろにitがあれば,それに当たる語が( )にあると考えられる。
代名詞以外でも,here, there, so, such, too, alsoなどに注意 - 代動詞のdo(does, did)も前に対応する動詞があるはず。
- 疑問詞で始まる疑問文は,Yes-No では答えられない。
- 省略された表現があれば,その直前の表現を補えるはず。それを補える選択肢が正解
- 指示語,代用表現が対応するか?
- 会話の決まり文を覚えておく。
- もし,選択肢のどちらでも言えそうかな?と迷ったら,論理的に飛躍がないものを選ぶ。
英語は日本語よりも理屈っぽい言語なので,飛躍が少ない。たとえば,
「昨日あのドラマ見た?」に対する答えとしては,「疲れて寝てた。」より,「いいえ,見ませんでした。疲れて寝てたから。」のほうが飛躍が少ない。
センター 第2問 C (整序英作文問題)の攻略
文法系問題ではおなじみの整序英作です。日本語つきの大学も多いですが,過去30年近くのセンターの中では日本語がついた整序英作を出したのは最初の頃の2年くらいだけだったと思います。日本語がないので意味を考えながら文を組み立てなければいけないのがちょっとつらいところ。基本を確認しておきましょう。
- まずVを探す。それを使う熟語はないか?そのVの語法はどうだったか?を考える。
- 部品を先に作っておく。たとえば,助動詞の次は原形,前置詞の次は名詞。ただし,間に何かが入るかもしれない。
- it が選択肢にあれば,形式主語や形式目的語,強調構文を疑う。
- 無生物主語構文に注意。(物のS+V(使役系)+人のO….)
- S+Vが2組あるのに,接続詞が一つもなければ,関係詞の省略を疑う。(接続詞のthatの省略も多い)
センター 第3問 C (長文の中に文を入れる問題)の攻略
これも2007年度と2006年度以前で出題傾向が変化しています。まずは旧タイプ対策。
- まず,挿入する文の中のつなぎ言葉に波線をつけ,指示語をマルで囲っておく。
- その文の要点をメモしておくのもよい。(完全に和訳するのではなく)
- 長文はパラグラフごとに読む。そのパラグラフが何をテーマにしているかをおおざっぱに読み取り,どの段落にどの文を入れられそうかをこれまたおおざっぱに決める。特にテーマの転換に注意。たとえば,第一段落では長所,第二段落では欠点が述べられているといった程度の把握でよい。
- 段落が決まったら,最終的にどの位置に入れるかを絞り込む。この時に使うのが,1でマークしたつなぎ言葉と指示語である。
ここでのポイントは,パラグラフごとにトピックが変わるので,各パラグラフのトピックが何なのかを明確にした上で選択肢に取り組む,ということでした。
そこで2007年度ですが,問題形式は一見全く違うように見えますが,実は各パラグラフに一つの文を入れるという点では昨年以前と共通です。パラグラフのトピック・論点を理解できれば,選択肢の中から選び出すことはそれほど難しくありません。昨年以前のこの第3問Cは,センター英語の最難問だと敬遠していた人が多かったのですが,完答が十分可能な問題になりました。
××センター 第3問 B (文整序問題)の攻略
これは2007年度から簡単な問題に変わったようなので,参考までに。
- 選択肢の,指示語をマルで囲う。
- 選択肢の,つなぎ言葉に波線をつける。
- 指示語の前には,それがさす名詞があるはず。
- 全体の話の流れをつかみ,2のつなぎ言葉がどこに来るかを考える。
- 空欄の後ろの文がヒントになることがよくある。
過去問でしっかり準備をしてきた人ほど,逆に出題傾向が少し変わっただけでパニクッてしまう人が多いようです。新傾向は誰にとっても新傾向なのだからあわてることはありません。問題を読み直して冷静に対応しましょう。