いささか,というかかなり旧聞に属するのですが,11月28日のNHK「ビジネス英会話」の話です。なぜそんな1月以上も前の放送の話をするかというと,私は各種語学講座をVJ-10で録音して,後でまとめて聞くことにしているのですが,年末年始はいろんなことにかまけていたので,溜まってしまったのですね。というわけで,今日電車の中で iPod にためこんだのを聞いていたわけです。
この日の放送で,杉田敏先生と Chris Matsushita さんが,英語でお年寄りを何と呼ぶかについて話し合っています。テキストには掲載されていない会話なので,私がtranscribe したものです。間違ってたらごめんなさい。
「お年寄りの」という形容詞,または「お年寄り」という名詞として,放送で取り上げられている単語は,
senior (senior citizen), old, older, mature, the aged, elderly, longer-living です。
- senior — AARP (アメリカのNGO. かつては,American Association of Retired Persons の略だったが,今は略称のAARPが正式名称) が stereo-typed なので避けるべきだと言っています。この団体は,older, mature を薦めているのですが,
それに対し Chris さんは,"Personally, " と断った上で,
- mature — "sounds like trying to avoid the obvious, avoid the truth" 「本当のことをごまかしている感じがする」
- old — " is too strong, , because it’s focusing on its bad part of it" 「年をとることのマイナス面に焦点があたって,強すぎる」
- the aged — "sounds even worse than old, although it has a bit of a literary ring to it" 「old より ひどい感じ。ただし,文学的な響きはある」
- the elderly や the longer living — "They are OK, but they’re still kind of sidestepping the truth" 「まあいいけど,これも真実を回避している」
とし,
- older — "not as young" を意味するだけなので,"acceptable"であり,"best"
と結論付けています。
杉田先生は,まとめとして Jack Rosenthal の言葉を引用しています。
There is probably no single acceptable term, because no single term can embrace so vast and varied a population.
私の個人的印象としては,「老人」のていねい語としては,書き言葉では the elderly がいちばん見かけるような気がします。mature は「成熟した」というのが本義ですから人間的成熟の意味も含んでしまいますね。 immature な old person ていうのもありえます。日本語の「高齢者」のようなやや固めの言葉は, the aged かな。